SMが性的な興奮を伴う行為である
1つの理由に、


体液全般との関わりが有ると思う。


体液プレイと書くと、

主に聖水や唾液なのだけど、

忘れてはならないのは、

血液である。



人体は体重の約60%が水分で占められていて
その多くは細胞の中に含まれる。

肌が乾燥しないのは、
細胞が常に水を蓄えているからだ。



60キロの人間で、約5L。

個人差があるけれど、
だいたい約10%が血液だ。


唾液や聖水に比べて、
圧倒的に多い。


血液は心臓が止まらない限り、

ひたすら動脈から静脈へと循環し

身体中へ酸素やミネラル、必須アミノ酸などを運び

二酸化炭素と老廃物を回収する。


古くなった血液は、
腎臓でろ過されて、排出される。


私たちが普段、小さな傷で見る血液は
静脈血、つまり心臓へ戻る血液だ。


新鮮で酸素の多い血は、
とても大事な体液なので
身体の奥で運ばれている。


しかし、


女性だけはその貴重な動脈血を
月に一度、胎内から排出する。


それが聖血。

月経血である。


傷口の血は、少し赤黒い。

腕や手の甲などから見える静脈も
うっすら青く浮かび上がる。

しかし、

動脈に流れる血は

鮮血と漢字で書くように、

鮮やかで透明感のある赤なのだ。


これは、酸素と血液中のヘモグロビンが
融合することで反応した結果の色。


だから、酸素が少ないとすこし色味は鈍る。



健康な経血は、
まさに鮮血と呼ぶにふさわしい
とても美しい赤色をしている。


血のように赤いと評される
九谷焼にまつわる伝承に、


陶芸家の妻の血を使って
色付けして焼いたところ、
凄味のある鮮やかな血色に仕上がった、


という話を子どもの頃に読んだのだか、


思わず、白磁に塗ってみたくなるような
妖しい美しさがある。


私は毎月、自分の経血を見て
先月の自分の生活を振り返る。


ときおり、その血赤のうつくしさを
誰かと共有したくなるが、


この感覚を理解してくれる血液愛好癖者は
おそらく、数少ないと思う。


紅白、とよく言ったもので


血液は白い雪のような肌にとても映える。



血液愛好癖には、
たぶん2パターンあると思う。


私のように、禁忌の美しさを感じるか。

吸血鬼のように、口に含んで味わいたいか。



自傷やカッティングなどは、
血液愛好癖とはまた別の欲が含まれるので
ここでは、血液そのものだけで考える。


SMという行為のなかで、
血液を口に含んで味わいたいパターンは、


唾液や聖水、黄金を飲みたい欲と
根本は同じだと考える。



相手から出るものを自分の血肉にしたい。

崇拝と服従の証として、究極の行為だ。



黄金が慣れないと、
呑み込んでも吐きだしてしまうように、

血液もまた、仮に一口飲んだとしても
同じく吐きだしてしまうように
人体はプログラムされている。



黄金も、血液も
本来、口から体内に取り込むものではないからだ。




それでも、

いや、だからこそ


血液に魅せられてしまう人が存在し、

性的嗜好の一つとして

呼び名まで与えられているのだと思う。




禁断の扉ほど、

開けてみたいと願うのは

人間の好奇心だものね。





TAMAKI