「ゑ 」である。


実は、いろは歌原文を読んで、

最初から「酔ひ」を使おうとは決めていたのだ。


古文で用いられる言葉が
いかに好きかは、
このシリーズで散々バレていることだろうが


「痴れる」もまた、雅で良い表現だ。


「この大馬鹿野郎!」
と怒鳴るより、

「この痴れ者め!!!」

と罵りたいのが本音なのだが、


言葉の意味が正しく相手に伝わらなければ
ただのヒステリーでしかないので、

なかなか使いたくても使えない罵倒言葉である。


酔ひもそうだが、

痴れるも、前後不覚の酩酊を指す言葉だ。



「頭が真っ白になって、何も考えられない」


これが、「痴れる」である。



SMで酔い痴れる、と言えば

真っ先に思い浮かぶのは、縄酔いである。


実際に、緊縛ショーをご覧になったことがあれば

受け手役のトランス状態を
演技だと思うかもしれないが、

良い縄を掛けられることが出来れば、

縄だけで逐情、絶頂へと追いやることが出来る。


勿論、そこまでに至るには
地道な縄の鍛錬とセンスが必要だけど、


性器や分かり易い性感帯への
直接的なアプローチが無くても、


人間はエクスタシーを感じられるのである。



縄酔いとは、まさによく言った言葉で

酔い痴れるという表現がとてもしっくりくる。


縄で恍惚となっていく様を見るのが

縛り手側の愉しみの一つだと確信している。



それ以外にも


鞭でも身も世もなく酔い痴れる子もいるし、


締め落とし願望がある子達は、

意識が落ちる瞬間がたまらなく好きで
その感覚に酔い痴れたいがために、

窒息寸前の責めを希望してくることもある。


匂いフェチなら、
汗と匂いが染みついた下着やストッキングを
鼻に圧しつけて、肺の奥まで吸い込む至福に
酔い痴れたいのだろうし、


真正の人間便器であれば、
黄金で口ものども全部ふさがれることに
酔い痴れるだろう。


「頭が真っ白になって訳が分からない」くらい

夢中になれる
好きなものがあると言う事は



とても幸せなことだ。



そして、

自分が何もかもを忘れて

没頭できる時間を持てることも


とても贅沢だ。


SMに関わることは、
人生の楽しみを増やすこと。

その手引きとして、
このシリーズがお役立て出来れば
嬉しい限りである。


TAMAKI